【定期更新】ホームランウイングは中日の味方なのか?バンテリンドームのウイング弾を全振り返り

野球の話

2026年シーズンから、バンテリンドームにホームランウイングが設置されるという大きな変革が起こりました。
まだシーズン半ばではありますが、ドラゴンズファンとして、明らかに試合の見え方が変わったことを実感しています。

これまでなら「神宮だったら入ってたのに」「東京ドームだったらなぁ」で終わっていたような打球が、ホームランになる場面が増えています。

一方で、ホームランが増えるということは、ドラゴンズが打つホームランだけでなく、相手に打たれるホームランも増えるということ。
文字どおり”高い壁”になってくれていた巨大な青いフェンスも、以前のように味方にはなってくれません。

では、ホームランウイングは本当にドラゴンズの味方になっているのでしょうか

この記事では、バンテリンドームで記録された本塁打のうち、「ホームランウイング」に着弾した本塁打だけを対象にして、ドラゴンズファン目線で振り返っていきます

※この記事は、2026年シーズン中に随時更新予定です。

ホームランウイング設置でバンテリンドームはどう変わった?

まず、ホームランウイングによって何が変わったのかを確認します。

中日ドラゴンズ公式サイトによると、ホームランウイングの設置により、左中間・右中間がこれまでの116mから110mに変更されました。

また、外野フェンスの高さも4.8mから3.6mに変更されています。

項目設置前設置後
左・右中間116m110m
フェンス4.8m3.6m
両翼100m100m
中堅122m122m

両翼100m、中堅122mは変わっていません。
つまり、球場全体が狭くなったというより、これまで特に深かった左中間・右中間のふくらみが削られた形です。

ホームランウイング変化

バンテリンドームといえば、長年「ホームランが出にくい球場」として知られてきました。

その最大の要因の一つだった左中間・右中間の深さが少し緩和されたことで、これまでなら入っていなかった打球が本塁打になるケースが増えていると考えられます。

特にドラゴンズファンとしては、「今の打球、ナゴヤドーム時代なら入ってなかったな」と感じる場面が増えたのではないでしょうか。

設置前と比べてホームランはどれくらい増えそうか

では、ホームランウイング設置後、バンテリンドームのホームラン数はどれくらい増えているのでしょうか。

ナゴヤドーム(現バンテリンドーム)が1997年に開場してから、2025年シーズンまでの29年間で見ると、実施された試合は1,992試合
その間に記録されたホームランは2,232本となっています。

これを1試合平均にすると、約1.12本
他球場と比較すると、平均2本以上を記録している球場もあり、バンテリンドームが非常に「ホームランが出にくい球場」だったことは間違いありません。

一方、2026年7月9日時点では、バンテリンドーム40試合で60本塁打
1試合平均にすると1.50本です。

比較試合数本塁打数1試合平均
1997〜2025年1,992試合2,232本1.12本
2026年途中40試合60本1.50本

単純に1試合平均で比較すると、
1.5 ÷ 1.12 = 約1.34倍

つまり、2026年のバンテリンドームは、設置前の長期平均と比べて、1試合あたりの本塁打が約34%増えているペースです。

もちろん、シーズン途中の数字なので、最終的にこのペースのまま進むとは限りません。
ただ、このまま1試合平均1.50本のペースが続いた場合、バンテリンドームでの2026年本塁打数は次のようになります。

比較1試合平均69試合換算
設置前のペース1.12本約77本
2026年のペース1.50本約104本

単純計算では、従来の平均ペースよりも年間で約27本多くなる計算です。

これだけ見ると、ホームランウイングの影響はかなり大きいと言ってよさそうです。

ただし、ここで注意したいのは、これは「中日のホームランだけ」ではなく、バンテリンドームで出た両チーム合計の本塁打数だということです。

残念ながら、ホームランウイングは中日の攻撃時だけ出てくるわけではありません。
相手チームの打球も、当然同じようにホームランになりやすくなってしまいます。

だからこそ気になるのは、「ホームランウイングは中日の味方なのか?」という点です。

バンテリンドームのホームランウイング弾一覧

この記事では、バンテリンドームで出た全本塁打ではなく、ホームランウイングに着弾した本塁打だけを対象にします。
ウイング設置前でもホームランになっている、外野スタンドまで届いた本塁打は、今回の主題には含めません。

2026年7月9日時点で、バンテリンドームのホームランウイングに着弾した本塁打は以下の通りです。

No.日付選手球団飛距離
14月10日森下阪神125m
24月11日森下阪神114m
34月11日大山阪神120m
44月11日花田中日106m
54月11日佐藤阪神117m
64月11日サノー中日125m
74月15日モンテロ広島110m
84月24日ボスラー中日111m
94月24日サンタナヤクルト123m
104月24日村松中日114m
114月25日石伊中日110m
124月28日阿部中日113m
134月30日ヒュンメルDeNA119m
144月30日細川中日114m
154月30日山本祐DeNA108m
165月5日森下阪神108m
175月5日土田中日110m
185月5日前川阪神121m
195月9日巨人119m
205月10日カリステ中日116m
215月10日鵜飼中日114m
225月15日板山中日116m
235月15日増田ヤクルト108m
245月17日村松中日112m
255月24日菊池広島116m
265月27日辰己楽天113m
275月27日鵜飼中日122m
286月3日細川中日112m
296月6日ネビン西武118m
306月24日DeNA107m
316月24日サノー中日109m
326月24日ヒュンメルDeNA不明
336月24日サノー中日122m
347月5日笹原巨人107m

集計すると、以下の通りです。

分類本数
ドラゴンズ16本
相手チーム18本
合計34本

ウイング弾だけで見ると、ドラゴンズ16本、相手球団が18本。

少なくとも本数だけで見れば、「ドラゴンズだけが得をしている」とも「相手ばかり得をしている」とも言い切れません。
開幕当初は相手チーム、というよりも阪神の選手に偏っていたため、「自滅」と揶揄する大御所解説者もいましたが、シーズンが進むにつれて、揺り戻しが起きています。

ホームランウイングは「ドラゴンズの味方」というより、バンテリンドームでホームランになる打球の範囲を広げた存在に過ぎません。
または、ドラゴンズが打撃のチームへと変貌を遂げるためのきっかけと考えた方が良いでしょう。

ホームランウイング弾を1本ずつ振り返る

ここからは、ホームランウイングに着弾した本塁打を1本ずつ振り返っていきます。

ドラゴンズのホームランはもちろん、相手に打たれたホームランも含めて、ホームランウイングが試合にどう影響したのかをドラゴンズファン目線で見ていきます。

4月:計15本(うち中日7本)

森下:125m(阪神/4月10日)

●中日 3-5 阪神
6回表 5号ソロ(相手投手:柳)

ホームランウイング第1号は、ドラゴンズではなく阪神の森下による一発だった。

2-0でドラゴンズがリードする中、1点差に迫る大きなソロホームラン。
センター方向の一番深いところで、打たれた柳としては「今までなら二塁打だった」と思ってしまう打球だろう。

試合はその後、9回表に阪神が松山から一挙4点を奪い、逆転勝利を収めた。
完封ムードも漂っていた中で、結果的に反撃の呼び水となる貴重なホームランとなった。

いきなり相手に打たれた形になり、ホームランウイングはこういったリスクにもなりうると初めて実感した試合である。

森下②:114m(阪神/4月11日)

●中日 3-9 阪神
1回 6号ソロ(相手投手:大野)

まさかの森下による連夜のウイング弾。
2アウトを簡単に取った先発・大野の出鼻を挫く、大きな先制ホームランとなった。

明らかに浮いた高めのボール球を叩き、滞空時間の長いレフト方向へのホームラン。
追っていたレフトの細川も足を緩めており、昨年までであればレフトフライになっていた打球かもしれない。

大山:120m(阪神/4月11日)

●中日 3-9 阪神
2回 1号ソロ(相手投手:大野)

この日の大野は、森下だけでなく5番の大山にも今シーズン初本塁打をウイングに運ばれてしまう。

左中間のフェンス上部に当たる打球。
ほとんどの球場ではホームランになっているであろう当たりだったため、そこまで大きなダメージはないだろうか。

花田:106m(中日/4月11日)

●中日 3-9 阪神
3回 1号ソロ(相手投手:伊原)

ドラゴンズの記念すべきウイング第1号は、なんとドラフト6位のルーキー花田旭だった。

岡林や上林といった外野のレギュラー陣の離脱が重なり、2番センターでのスタメン出場。
プロ初ホームランを放ち、期待に応える形となった。

やや差し込まれるように見えたものの、しっかりと右手で押し込み、打球はライトのホームランウイング最前列へ。
飛距離106mは、執筆している7月9日時点で、「ホームランウイング最短飛距離」である。

佐藤:117m(阪神/4月11日)

●中日 3-9 阪神
7回 2号3ラン(相手投手:仲地)

佐藤輝明の打球もホームランウイングへ。
この日は阪神のクリーンナップ全員がホームラン。
サトテルに至っては2本のホームランを放つ空中戦となった。

真ん中高めの甘い直球を完璧に捉えており、むしろこれが昨年まではホームランになっていなかったのが申し訳ないくらいの当たりである。

サノー:125m(中日/4月11日)

●中日 3-9 阪神
8回 3号2ラン(相手投手:早川)

MLB実績抜群のサノーが、なんとこの日5本目となるホームランウイング弾
試合を通じて6本中5本がウイングに入っており、昨年までの球場であれば大きく試合展開も違っただろう。

外寄りのまっすぐを逆らわずにセンターへ弾き返すと、ウイングの一番深いところへ。
125m飛んだ打球だが、深めに守っていた近本が追いつけそうにも見え、改めてバンテリンドームの大きさを感じた一発でもある。

モンテロ:110m(広島/4月15日)

●中日 2-5 広島
8回 3号2ラン(相手投手:齋藤)

対戦カードが変わっても、ホームランウイングに叩き込まれる。

ドラゴンズが1点差まで追い上げて、押せ押せムードで迎えた大事な8回。
齋藤が投じた外寄りのまっすぐを、モンテロが逆方向に弾き返した。

ライトを守っていたボスラーも、フェンス際でジャンプするくらいには浅いホームランだった。
ホームランにならなければ、一塁ランナーの生還は防げていたかもしれず、試合を左右する一発と言える。

ボスラー:111m(中日/4月24日)

○中日 6x-4 ヤクルト
2回 1号ソロ(相手投手:松本健)

ボスラーにも初ウイング弾となる、先制ホームランが飛び出した。

相手先発・松本健のインローに沈む変化球をすくい上げ、打球はライト方向のホームランウイングへ一直線。
打球速度は速いものの、従来のフェンスを超えるにはまだまだ遠いような打球だった。

これがホームランになるか二塁打になるか。
この差は、中距離打者にとっては人生を変える違いだろう。

サンタナ:123m(ヤクルト/4月24日)

○中日 6x-4 ヤクルト
8回 6号ソロ(相手投手:メヒア)

3対3の同点で迎えた8回、ヤクルトのサンタナが勝ち越しホームランを放った。

外に構えたミットよりも中に入ってしまい、サンタナにとってはちょうど手が伸ばせる位置。
センターやや右へ、パワーで無理やり運ばれてしまう一発となった。

一発で試合が決まってしまうような場面で、これまで以上に甘く投げてはまずいというプレッシャーが、中継ぎ陣の崩壊につながってしまったのだろうか。

村松:114m(中日/4月24日)

○中日 6x-4 ヤクルト
9回 1号3ラン(相手投手:星)

すでに2本のウイング弾が出ていたこの試合。
決着もまた、ホームランウイングに飛び込むサヨナラ弾だった。

松中コーチの指示で初球からノーステップで構えた村松
星の抜けたフォークをすくい上げると、歓喜のサヨナラ3ランとなったのだった。

このホームランに喜ぶ幹也ユニのおじさんがカメラに抜かれて話題になったが、それだけでもホームランウイング設置の価値はあったのかもしれない。

石伊:110m(中日/4月25日)

○中日 5-2 ヤクルト
5回 2号ソロ(相手投手:小川)

板山の満塁ホームランで、序盤から4-0とリードしていたこの試合。
5回には石伊がホームランウイング弾を放ち、追加点を奪った。

追い込まれながらも、インコースのストレートを強打。
カウントが悪くても、引っ張って長打を打てるのが石伊の良いところなので、これがホームランと記録されるのはより自信になるのではないか。

阿部:113m(中日/4月28日)

○中日 3-0 DeNA
4回 1号2ラン(相手投手:東)

5番ファーストでスタメン出場の阿部が、ドラゴンズ復帰後初めてのホームランを放った。
難敵・東相手ということもあり、非常に貴重なウイング弾である。

打ったのは外寄りのまっすぐか。
移籍前によく見た「右中間への二塁打」という打球だったが、ホームランウイングができたおかげで、これがホームランになる。

まさしく阿部のような中距離打者には、この恩恵は大きいのかもしれない。

ヒュンメル:119m(DeNA/4月30日)

●中日 2-6 DeNA
2回 2号ソロ(相手投手:マラー)

DeNAのヒュンメルに打たれた先制のウイング弾。
甘いボールを捉えられ、フェンス上部に当たるホームランとなった。

0-2と有利なカウントだっただけに、悔やまれる一球である。

細川:114m(中日/4月30日)

●中日 2-6 DeNA
2回 2号ソロ(相手投手:篠木)

先制された直後に、細川がお返しとなる同点ウイング弾。
開幕して1ヶ月も経つが、意外にも自身初のウイング弾となった。

外角高めへ明らかに抜けたボール球を、無理やりパワーで運んだ一撃。
滞空時間も長く、ホームランウイングがなければレフトフライだっただろう。

山本祐:108m(DeNA/4月30日)

●中日 2-6 DeNA
5回 1号ソロ(相手投手:マラー)

シーズン途中にソフトバンクへトレードとなった山本にも、この試合3本目となる勝ち越しウイング弾が生まれる。

真ん中低めの変化球を打ち返し、打球は良い角度でレフトへ。
飛距離は108mと短いものの、レフトの細川はフェンス際でその打球を見送るしかなかった。

5月:計12本(うち中日6本)

森下③:108m(阪神/5月5日)

○中日 7-3 阪神
1回 8号ソロ(相手投手:金丸)

敵地にもかかわらず、なんと阪神の森下が3本目のウイング弾。
バンテリンドーム5試合目にして、誰よりもホームランウイングの恩恵を受けている。

インコースの甘くないボールを、肘を畳んでレフトへの弾丸ライナー。
ウイングがなければ、当たりが良すぎてシングルヒットもありえたかもしれない。

初回2アウトをとった後ということを考えると、有効な先制パンチだった。

土田:110m(中日/5月5日)

○中日 7-3 阪神
4回 2号ソロ(相手投手:早川)

森下のお返しとばかりに、ドラゴンズの土田龍空もウイング弾を放った。

すでに4失点している早川に対し、インローのまっすぐを強振。
低い弾道で伸びた打球は、そのままライトのホームランウイングへ飛び込んだ。

狭くてもフェンスが高い球場であれば入っていなかったであろう、プロ通算3本目のホームランである。

前川:121m(阪神/5月5日)

○中日 7-3 阪神
7回 1号ソロ(相手投手:金丸)

すでに2本のウイング弾が飛び出したこの試合だが、前川にも今季第1号が生まれる。

緩い変化球を引っ張り、打球は右中間へ。
121mという飛距離からもわかるとおり、フェンスの最上部まで運んでおり、これが二塁打になっていたとしたら、打者にとってはたまったものではない。

丸:119m(巨人/5月9日)

○中日 4-2 巨人
8回 1号2ラン(相手投手:杉浦)

7回無失点の大野からバトンを受けた杉浦だったが、代打の丸に2ランを献上。
真ん中に入ったストレートを、右中間へ完璧に運ばれてしまった。

巨人の選手としては、初めてのホームランウイング弾である。

カリステ:116m(中日/5月10日)

●中日 4-9 巨人
3回 1号ソロ(相手投手:森田)

同点に追いつく、カリステの今季第1号ホームランもウイングに飛び込んだ。

インハイに浮いたストレートを引っ張り、打球は左中間へ。
対左投手であれば、こういうバッティングもできるのだが。

鵜飼:114m(中日/5月10日)

●中日 4-9 巨人
4回 2号2ラン(相手投手:森田)

4回には鵜飼が、再び試合を振り出しに戻す2ランホームラン。

こちらは高く浮いたツーシームを引っ張り込んでおり、好調がうかがえる。
完璧に捉えていなくても飛ぶ打者なのだから、まずは2桁本塁打に乗せて、自信をつけてほしいところだ。

板山:116m(中日/5月15日)

●中日 5-8 ヤクルト
6回 3号ソロ(相手投手:高梨)

すでに2本のヒットを放っていた板山が、6回に反撃の狼煙となるソロホームラン。
ちなみに次の打席では逆転満塁ホームランを放っており、この日は11塁打の大活躍を見せた。

無失点に抑えられていた高梨のまっすぐを捉えると、打球は右中間へ。
ライトが追いついているようにも見える打球で、ホームランウイングがなければアウトになっていたかもしれない一発だった。

増田:108m(ヤクルト/5月15日)

●中日 5-8 ヤクルト
9回 3号2ラン(相手投手:清水)

8回に逆転された後、9回には増田にダメ押しとなる2ランホームランを浴びた。

本調子に戻ってこない清水が投じたアウトコースのまっすぐを、逆らわずに逆方向へ。
ほとんどの球場ではホームランになっていないであろう、最前列への一発だった。

村松②:112m(中日/5月17日)

●中日 1-5 ヤクルト
4回 3号ソロ(相手投手:松本健)

村松が、ドラゴンズの選手では初めてとなる、2本目のホームランウイング弾を放った。

好投を続けていた松本健の、高めに浮いた失投を見逃さなかった。
見逃せばボールにも思える投球であり、非常に高い弾道でライト方向へ。

ホームランウイングがなければ、ライトが楽にキャッチしていたであろう打球だった。

菊池:116m(広島/5月24日)

●中日 3-5 広島
6回 2号2ラン(相手投手:髙橋宏)

5回まで0点に抑えていた髙橋宏斗が、6回につかまり大量5失点。
その口火を切ったのが、菊池のホームランウイング弾だった。

外に構えていたミットよりも直球が真ん中に入り、軽々と外野の頭を越されてしまう。
ウイングがなければ、フェンス直撃の二塁打で済んだはずの打球。
ここから崩れてしまったことを考えると、ホームランウイングはやはり投手にとってもかなり大きな影響を与えているのだろう。

辰己:113m(楽天/5月27日)

○中日 7-2 楽天
1回 5号2ラン(相手投手:櫻井)

先発のルーキー・櫻井の出鼻を挫く、辰己の先制2ラン。
パ・リーグの選手では、初めてとなるホームランウイング弾だ。

真ん中高めのストレートにやや振り遅れたものの、パワーで無理やり運んだような逆方向への打球。
元々のフェンスにも届かないような打球であり、ホームランにはならない球場の方が多かったのではないだろうか。

鵜飼②:122m(中日/5月27日)

○中日 7-2 楽天
3回 4号ソロ(相手投手:古謝)

鵜飼に自身2本目となるホームランウイング弾が飛び出し、試合を振り出しに戻した。

古謝が投じた、決して甘くないインコース寄り低めのストレートを、なんと右中間へ。
スラッガーにしか打てないような打球であり、これがホームランとして記録されるのは、鵜飼にとって大きな自信とアピールになるだろう。

6月:計6本(うち中日3本)

細川②:112m(中日/6月3日)

●中日 5-8 ソフトバンク
5回 7号3ラン(相手投手:松本晴)

細川の自身2本目となるホームランウイング弾。
6月に入ってまだ7号というのは非常に寂しい数字であり、思ったよりもウイングの恩恵を受けられていない状態だ。

相手先発・松本晴のスライダーを左手1本で払うと、そのまま打球はレフトの頭上を超えてウイングへ。
不調が続いているが、こういう感覚で結果がついてくれば、もう少し楽に打席にも立てそうだ。

ネビン:118m(西武/6月6日)

●中日 2-5 西武
6回 11号3ラン(相手投手:大野)

相手の主砲であるネビンに浴びた、痛恨の逆転3ラン。
初球の甘く入ったカットボールを運ばれており、大野にとっても悔いが残る一球だっただろう。

高々と上がった打球に対し、レフトもセンターも悠々追いついてフェンスに張り付いていた。
ウイングがなければ3アウトチェンジだったことを考えると、ホームランウイングが原因で負けた一番の試合かもしれない。

牧:107m(DeNA/6月24日)

●中日 4-6 DeNA
3回 6号ソロ(相手投手:櫻井)

勝てない投球が続く櫻井に対し、この日もDeNA打線が襲いかかる。

牧が外寄りのチェンジアップを引っ張った打球は、レフト方向へ。
ホームランウイングをわずかに超え、最前列に飛び込んだ。

飛距離107m、当たりもあまり強くなく、ほとんどの球場ではホームランにならない打球だっただろう。

サノー②:109m(中日/6月24日)

●中日 4-6 DeNA
7回 6号ソロ(相手投手:中川虎)

お返しとなる、サノーのウイング弾。
負傷離脱の時期もあったが、まずまずのペースでホームランを放っている。

中川虎の外角のまっすぐを、逆らわずにライトへ。
低い弾道だったが、ホームランウイングの低いフェンスをしっかり超えていった。

ヒュンメル②:飛距離不明(DeNA/6月24日)

●中日 4-6 DeNA
9回 5号ソロ(相手投手:齋藤)

1点差で迎えた9回、代打のヒュンメルに貴重な追加点となるウイング弾を浴びてしまった。
この試合2本目の被弾と、完全にホームランウイングが敵になってしまった日である。

初球、低めのストレートを左中間の一番深いところへ。
飛距離データは確認できなかったが、こちらは多くの球場でスタンドインしていそうな打球だった。

サノー③:122m(中日/6月24日)

●中日 4-6 DeNA
9回 7号ソロ(相手投手:山﨑)

再びサノーの倍返し弾で、両チーム合わせて4本目となるウイング弾。
1試合2本のウイング弾は、現時点ではサノーが唯一である。

クローザーの山﨑康晃に対し、初球の抜けたスライダーを見逃さなかった。
打球は右中間、フェンスの上部に当たっており、こちらも完璧なホームランと言って良いだろう。

7月:計1本(うち中日0本)※7月9日時点

笹原:107m(巨人/7月5日)

●中日 0-1 巨人
2回 1号ソロ(相手投手:金丸)

巨人の笹原が、ホームランウイングへプロ初本塁打を放った。

初球、金丸のストレートが真ん中に入ってしまった。
やや振り遅れ、少しこすったように見える打球だったが、ライトのホームランウイング最前列へ吸い込まれていく。

結果的にこの1点が決勝点となり、飛距離は短くとも、あまりにも大きな一発だった。

ホームランウイング弾の集計

ここまで、バンテリンドームのホームランウイングに飛び込んだ本塁打を1本ずつ振り返ってきました。

改めて、2026年7月9日時点での本数を整理します。

合計ドラゴンズ相手チーム
4月15本7本8本
5月12本6本6本
6月6本3本3本
7月1本0本1本
合計34本16本18本

現時点では、ドラゴンズ16本、相手チーム18本
本数だけで見れば、ほぼ互角です。

ホームランウイング集計

開幕直後は阪神勢に立て続けに打たれたこともあり、「相手の方が得をしているのでは」と言われることもありました。

ただ、シーズンが進むにつれてドラゴンズ側にもウイング弾は増えており、単純に「中日だけが損をしている」とは言い切れない数字になっています。

ホームランウイング弾を打った選手ランキング

順位選手球団本数
1位森下阪神3本
1位サノー中日3本
3位村松中日2本
3位鵜飼中日2本
3位細川中日2本
3位ヒュンメルDeNA2本

3本でトップに並んでいるのは、阪神の森下とドラゴンズのサノー。

現時点でホームランキングの阪神・森下は、21本塁打のうち8本がドラゴンズから
ドラフト時にはドラゴンズの指名も予想されていただけに、今でも「バンテリンドームで活躍できるなら、獲得できていれば」という思いはよぎります。
ただ、甲子園でもよく打たれているので、単純にドラゴンズの投手陣や攻め方と相性が良いのでしょう。

一方で、ドラゴンズ側ではサノーが3本、村松・鵜飼・細川が2本ずつ。

離脱期間があったサノーが3本稼いでいるのは良いとして、細川が2本しか積み重ねられていないのはさすがにもったいない。
チームの低迷は、正直4番の責任も小さくありません。

また、上林・ボスラー・ブライトと、昨年の活躍からホームランウイング設置で上積みがあると思われた中距離打者たちが、ことごとく不在なこともチームにとっては予想外のマイナスです。

一方で、開幕から孤軍奮闘していた村松、今年が勝負の年になる鵜飼が、複数本積み重ねているのは良いですね。
2027年からDH制が導入されることも考えると、ホームランウイング設置を機に、打撃力のチームに変わっていく転換期となってほしいところです。

ホームランウイング弾を打たれた投手ランキング

順位投手球団被弾数
1位大野中日3本
1位金丸中日3本
3位早川阪神2本
3位齋藤中日2本
3位松本健ヤクルト2本
3位マラー中日2本
3位森田巨人2本
3位櫻井中日2本

被弾数で見ると、大野と金丸が3本で最多。

大野は森下、大山、ネビンに被弾。
特にネビンに浴びた逆転3ランは、ホームランウイングの影響を強く感じる一発でした。

金丸は森下、前川、笹原に被弾。
笹原のプロ初本塁打のように、効果的な一発を浴びています。

印象的なネビンと笹原の一発は、いずれも2アウトから。
昨年までは、「3アウトチェンジ」または「2アウト2塁で次の打者と勝負」になっていた場面が、取り返しのつかない失点になっていることを考えると、投手にとってはなかなか切り替えが難しいでしょう。

投手力が落ちてきているとされるチーム状況だけに、やはり打撃力でカバーしつつ、取れるアウトはしっかり取る守備力も、これまで以上に重要となってきます。

ドラゴンズ以外の球団別ホームランウイング弾

順位球団本数
1位阪神6本
2位DeNA4本
3位広島2本
3位ヤクルト2本
3位巨人2本
6位楽天1本
6位西武1本

相手チームで最も多いのは、阪神の6本。
内訳は森下が3本、大山、佐藤、前川が1本ずつと、打つべき選手が打っているとも言えるでしょうか。

開幕3連戦で4本を浴びたように、シーズン序盤からホームランウイングを活用されてしまっています。
ホームランが出づらい甲子園を本拠地にしているだけに、これだけ強力な主軸を揃えられるチームづくりは見習わなければいけません。

次いで、毎年対戦成績が大きく負け越しているDeNAが4本。
ヒュンメルが2本、山本祐、牧が1本ずつ記録しています。

この数字を見ると、ホームランウイングはドラゴンズだけでなく、当然ながら相手チームにも恩恵を与えていることが分かります。
だからこそ、問題は「ホームランウイングがあること」ではなく、それをドラゴンズが相手以上に活かせるチームになれるかどうかでしょう。

まとめ:ホームランウイングは中日の味方なのか

ホームランウイングは中日の味方なのか。

現時点での答えは、味方にも敵にもなりうる存在であり、味方にできる場面を増やすチームづくりが重要ということだと思います。

珍しく前評判が良い状態で迎えた2026年シーズンですが、現時点でドラゴンズは最下位。
序盤から怪我人が続いたこともありますが、中継ぎ陣の「投壊」薄い選手層という課題は明白でしょう。

シーズン78試合を終えた時点で、ドラゴンズはリーグ最多となる22試合の逆転負けを喫しています。
先発陣が踏ん張ってリードを保っても、中継ぎが簡単に失点する試合が多く、ファンにとってはストレスの溜まる場面が少なくありませんでした。

一方で、上位の巨人とヤクルトはいずれも逆転負けが9試合のみ。
ライデルにキハダという外国人守護神がいて、中継ぎの枚数も揃っているチームは、やはり安定しています。

ただし、首位の阪神は、逆転負けが18試合。
昨年盤石だった中継ぎ陣が崩れながら、それでも首位に立っているのです。

つまり、リリーフが多少苦しくても、それを打撃力でカバーできるチームは上位にいられるということでもあります。

今後のドラゴンズへの期待

そう考えると、ホームランウイングが設置されたバンテリンドームで、ドラゴンズがかつての黄金期に見せた「守り勝つ野球」を目指すのは、少し難しくなっているのかもしれません。

今後のドラフト・現役ドラフト・トレードなどでは、「急場しのぎの穴埋め」ではなく、「近い未来のコアになりうる選手」を優先すべきでしょう。
中継ぎが崩壊しているからといって、若手の有望株を放出して、年齢を重ねた投手の枚数を増やしている場合ではないのです。

これからドラゴンズが上を目指すには、細川の負担をいかに減らせるかがカギになると思います。
サノーは低打率ながらも、十分相手の脅威になっているでしょう。
石川もようやく尻に火がついたか、期待ではなく実力でサードのポジションをつかみかけています。

監督が自分の手柄を主張するために、毎日コロコロと打順を変えている場合じゃないんです。
石川・細川・サノーを主軸に据える。
岡林・村松に出塁を増やす役割を意識させる。
石伊・幹也には守備にもっとリソースを割けるよう楽な打順に下げる。
鵜飼や福永、好調な選手たちで、ライト・セカンドのポジションを争わせる。

強いチームは基本的に打順が固定されています。
それぞれの選手に、果たすべき役割があるのだから。

あの頃の見ていてワクワクするチームに戻ってくれることを祈って、この記事を終わりたいと思います。

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