【たたき上げの4番とは何なのか】中日ドラゴンズ歴代4番の生え抜き率と他球団のデータを検証してみた【がんばれ細川成也】

野球の話

現在、中日ドラゴンズファンの間で、1つの記事が物議を醸している。

中日・森駿太、『未来の4番』の資質あり! 井上監督、「可能性を秘めている」と判断「たたき上げの選手を…その候補」(中日スポーツ) – Yahoo!ニュース

>できることなら自前の4番で戦いたい。
>「たたき上げの選手をつくらなきゃいけない。森はその候補だと思っている」。
>細川の頑張りは認めている。勝利への貢献度も高い。
>一方で、現役ドラフトでの加入という要素がどうしてもひっかかる
>生え抜きの主軸は誰もが望む。

大多数のドラゴンズファンが愛してやまない細川成也を、「現役ドラフト組だから」という理由でくさしているのだ。
なぜ名前も出さない記者に「頑張りは認めている」なんて上から目線で評されなければならないんじゃ…
と思うが、すでに細川は岡林や大島といった生え抜きスターと負けないくらいの人気があるだろう。
筆者も、今年は現地観戦の際に細川のレプリカユニフォームを買いました。

注意したいのは、井上監督は「生え抜きじゃないと認めない」という主旨の発言はしていない点だ。
たたき上げ自体は「元々評価が飛びぬけて高いわけではないところから、努力を重ねて成り上がっていく」ような意味と認識している。
FAでポンポンと大物を引っ張ってくる球団ではないし、近年日本に来る助っ人は昔ほど成績を残せないのだから、「育てていかなければ」と考えるのは、監督として当然のことだろう。
いや、まさしく現役ドラフト組の細川成也がそうじゃんか。

井上監督も石川昂弥の4番に開幕当初からこだわっていたきらいはあるが、フロントや地元マスコミからの「生え抜きスターを育てろ」という圧もあったのだろうと今になって思う。
今回の記者みたいなのから、『石川は使わないんですか?みんな期待してますよ?』みたいなプレッシャーをかけられ続けてきたのかもしれない。

その点では同情する部分もあるし、少なくとも3年連続最下位の「666」からは脱出してAクラス争いを終盤まで繰り広げてくれたのだから、来年は期待したい。
ドラフトも、もう一度競合に突っ込んで引き当てよう。

少し話が散らかったが、今回は「中日ドラゴンズ歴代4番の生え抜き率」を検証していきたい。
今年の他球団のデータも確認して、比較してみる。
どうぞ、おつきあいください。

中日ドラゴンズの歴代4番の生え抜き率は?

2025年

4番試合数パーセンテージ
細川 成也7453.6%
ボスラー3122.5%
カリステ1611.6%
石川 昂弥139.4%
中田 翔21.4%
福永 裕基10.7%
ブライト 健太10.7%

生え抜き率:10.9% (15/138試合)

開幕から4番石川 昂弥にこだわり、前年まで主砲を張っていた細川 成也が6番に。
14試合目で細川に戻すが、こちらも不調が続く。

5~6月はボスラーカリステで4番を回す苦しい展開。
7月になると細川が復調し、結果的にはシーズンの半分以上は4番に座ることとなった。

生え抜きとしては、5/27に復帰した福永 裕基が4番に入るも、すぐに再離脱。
6/5のホークス戦では、ブライト 健太も1試合4番でスタメン出場している。

他球団のデータ

生え抜き率(阪神):100% (139/139試合)

生え抜き率(DeNA):59.4% (82/138試合) ※筒香を含む

生え抜き率(巨人):66.7% (92/138試合)

生え抜き率(広島):55.1% (76/138試合)

生え抜き率(ヤクルト):43.0% (58/135試合)

まとめ
球団生え抜き率FA・助っ人以外
阪神タイガース100%100%
横浜DeNAベイスターズ59.4%59.4%
読売ジャイアンツ66.7%66.7%
中日ドラゴンズ10.9%64.5%
広島東洋カープ55.1%55.1%
東京ヤクルトスワローズ43.0%43.0%

たしかに、中日ドラゴンズの「生え抜き4番率」は他球団と比べてかなり低い。

圧巻は阪神で、クリンナップが生え抜きドラ1トリオなのだから当然としても、佐藤輝明だけでなく、森下・大山と中軸を任せられる主砲をしっかり獲得しているのは大きい。
助っ人のホームラン0で優勝という珍しいシーズン記録は逃したが、自前の国産打線の方が強そうだ。

村上の長期離脱で、ヤクルトがやや低めの数字になっている。
MLB移籍後は、北村や内山が4番に据えられる日も増えるのだろうか。
個人的には澤井に期待しているが…

そして本題の「たたき上げ」を検証するという視点から、助っ人とFA移籍選手を抜いた数字も出してみた。
といってもFA戦士は中日・中田、巨人・、ヤクルト・茂木だけなので、細川がプラスされる中日しか変動しない都合の良い数字である。
ただ、やはり他球団と変わらないくらいの割合には戻った。

佐藤・牧・岡本・末包・村上とどの球団にも日本人の主砲がいて、中日にも細川がいる。
この喜ばしい事実に、何を”ひっかかる”ところがあるのだろうか。
生え抜きについて、筆者の考えは以下のとおり。
もちろん「愛着の湧きやすさ」という点ではプラスだろうが、すでに愛着が湧いている選手なのだから、何も関係のない話だろう。

まあ調べる前から、記者の「雑音」に腹が立っているだけなので結論は出ているのだが、歴代の「中日ドラゴンズの4番」についても、せっかくなのでデータを出してみたい。

データを羅列するだけなので、まとめまで飛んでもらってOKです。

2024年以前

生え抜き率(2024):11.9% (17/143試合)
たたき上げ率(2024):73.4% (105/143試合) ※細川・川越を含む

生え抜き率(2023):59.4% (85/143試合)
たたき上げ率(2023):84.6% (121/143試合) ※細川・宇佐見を含む

生え抜き率(2022):2.8% (4/143試合)
たたき上げ率(2022):同上

生え抜き率(2021):3.5% (5/143試合)
たたき上げ率(2021):同上

生え抜き率(2020):1.7% (2/120試合)
たたき上げ率(2020):同上

生え抜き率(2019):6.3% (9/143試合)
たたき上げ率(2019):同上

生え抜き率(2018):0% (0/143試合)
たたき上げ率(2018):同上

生え抜き率(2017):15.4% (22/143試合)
たたき上げ率(2017):同上

生え抜き率(2016):23.8% (34/143試合)
たたき上げ率(2016):同上

生え抜き率(2015):40.6% (58/143試合)
たたき上げ率(2015):同上

生え抜き率(2014):63.2% (91/144試合)
たたき上げ率(2014):同上

生え抜き率(2013):2.8% (4/144試合)
たたき上げ率(2013):3.5%(5/144試合) ※山﨑武司含む

生え抜き率(2012):17.4% (25/144試合)
たたき上げ率(2012):34.0%(49/144試合) ※山﨑武司含む

生え抜き率(2011):19.4% (28/144試合)
たたき上げ率(2011):同上

生え抜き率(2010):15.3% (22/144試合)
たたき上げ率(2010):同上

生え抜き率(2009):0% (0/144試合)
たたき上げ率(2009):同上

生え抜き率(2008):6.9% (10/144試合)
たたき上げ率(2008):7.6%(11/144試合) ※中村紀洋含む

生え抜き率(2007):3.5% (5/144試合)
たたき上げ率(2007):4.2%(6/144試合) ※中村紀洋含む

生え抜き率(2006):0.7% (1/146試合)
たたき上げ率(2006):同上

生え抜き率(2005):1.4% (2/146試合)
たたき上げ率(2005):同上

生え抜き率(2004):63.8% (88/138試合)
たたき上げ率(2004):同上

まとめ「中日ドラゴンズ歴代4番の生え抜き率」

歴代4番打者の生え抜き率を並べてみると、以下のとおりになる。

年度生え抜き率(最多出場)
生え抜きの最多出場
たたき上げ率(最多出場)
202510.9%(細川 成也)
※石川 昂弥
64.5%(細川 成也)
202411.9%(細川 成也)
※石川 昂弥
73.4%(細川 成也)
202359.4%(石川 昂弥)84.6%(石川 昂弥)
20222.8%(ビシエド)
※阿部 寿樹
同左
20213.5%(ビシエド)
※福田 永将
同左

2023年は石川 昂弥が自身初の規定打席に到達。
4番に85試合座り、.242 13本 45打点と22歳のシーズンとしてはなかなかの成績を残した。

翌2024年は開幕一軍を逃がし、細川に4番を譲るも、.272 4本 OPS.702
成長曲線としては悪くなく、3番細川・4番石川のように細川の打順を上げる形であれば、ここまでヘイトを集めることも、石川が重圧を感じることもなかったのかもしれない。
つくづく「6番細川」構想が憎い。

しかし、この後のデータを見てもらうとわかるが、2023~2025年で細川・石川が全体の2/3以上の試合で4番に座っているのは、今までにはなかったことである。

20201.7%(ビシエド)
※高橋 周平
同左
20196.3%(ビシエド)
※高橋 周平
同左
20180%(ビシエド)同左
201715.4%(ゲレーロ)
※平田 良介
同左
201623.8%(ビシエド)
※福田 永将
同左

2016~2020年は、ホームラン王を獲得して急に行方不明になったゲレーロの2017年を除くと、常にダヤン・ビシエドが4番に座り続けている。
2018年には.348 26本 99打点の活躍で、首位打者と最多安打を獲得。

これだけ活躍する助っ人は、しばらく来ないでしょうね。
メキシカンリーグを経て、今季途中からDeNAに加入。
日本人枠なので、数年は残るのでしょうか。

背負わせずに1/3くらいのスタメンと、代打で使う形であればこれくらいはやれるんだろうな。
去年のカリステみたいな立ち位置であれば良かったけれど、このチームでの実績と年俸から、仕方ない部分はあったとも思いますね。

2016年から4年連続2ケタ本塁打を放った福田 永将も、甲子園のときから和製大砲として大いに期待していたんですけどね。
肩のケガが大きすぎたなぁ。

201540.6%(ルナ)
※平田 良介
同左
201463.2%(平田 良介)同左
20132.8%(和田 一浩)
※平田 良介
3.5%(和田 一浩)
※平田 良介
201217.4%(ブランコ)
※森野 将彦
34.0%(ブランコ)
※森野 将彦
201119.4%(和田 一浩)
※森野 将彦
同左
201015.3%(ブランコ)
※森野 将彦
同左

2014年に平田 良介が4番での最多出場。
.277 11本 65打点の成績を残している。

冒頭の記者からしたら、これで満足なんでしょうか。
2014年ごろとか、一番魅力のないチームだったけどな。
弱くなり始めたころだったので、割と記憶から消しています。

平田自体は好きだけど、1番や3番タイプですよね。
西谷監督も1番タイプと言っていたくらいなので、無理やり背負わせている感じ。

亡くなってしまったナイスガイのトニ・ブランコもやはり忘れられない。
彼よりもジャーマンを優先して、2013年シーズンからDeNAに放出したことが、長い暗黒時代のきっかけだったのではないでしょうか。

20090%(ブランコ)同左
20086.9%(T.ウッズ)
※森野 将彦
7.6%(T.ウッズ)
※森野 将彦
20073.5%(T.ウッズ)
※福留 孝介
4.2%(T.ウッズ)
※福留 孝介
20060.7%(T.ウッズ)
※立浪 和義
同左
20051.4%(T.ウッズ)
※高橋 光信・渡邉 博幸
同左
200463.8%(福留 孝介)同左

落合監督就任初年度の、2004年に福留 孝介が4番で最多出場。
実際彼も3番タイプだと思いますが、ナゴヤドーム本拠地で30本以上を2度経験しているくらいなので、4番としてもふさわしいでしょう。
どう考えても球団史上最高傑作だけれど、このレベルを求めているのか???

2005年からは、今では考えられないマネーゲームを制し、横浜からタイロン・ウッズを獲得。
球団史、いやリーグ史にも残る最強の4番が、4年間で155本塁打を放ってくれました。
2006年の.310 47本 144打点は、もう超える助っ人が来ることもないでしょう。

結論

細川成也は中日ドラゴンズの4番にふさわしい、救世主である。

ファンであればだれもがわかっている結論だが、歴代の4番を振り返ってみて、改めてそう思う。
現役ドラフトで中日ドラゴンズに来てくれてから、

2023年:140試合 .253 24本 78打点 OPS.780
2024年:143試合 .292 23本 67打点 OPS.846
2025年:103試合 .257 18本 53打点 OPS.852

という輝かしい数字を残しているのである。
この貢献度を超える選手は、12球団含めてもそう多くない。

記憶に残るホームランだって多い。
相手の守護神やセットアッパーから、起死回生の一打を放ってくれる期待度は、誰よりも高いだろう。
宇宙人が攻めてきて、ホームラン競争をするからドラゴンズの代表を出せと言われたら細川に行ってもらうのは間違いないし、手術の約束だって細川とする。

現役ドラフトでの加入という要素にひっかかっているのは、地球上であの駄文を書いた記者しかいない。
むしろ、たくさんの苦労を乗り越えてやってきてくれた、スーパーヒーローだ。

それを、大半のドラゴンズファンはわかっているだろう。
それで良いのかもしれないな。

今日も明日も来年も、これから先何年も、中日ドラゴンズの主砲としてチームを支えてほしい
雑音に負けずがんばれ、細川成也!!

おわりでーす

   

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