【ドカベンの主人公は山田じゃない?】マイ3大「岩鬼正美の”漢”すぎる魅力」

マイ3大

グヮラゴワガキーン

失礼しました。グヮラゴワガキーンと出てしまいました。
(打球音に表記揺れがあるけど、津田はグヮラゴワガキーン派です。シンプルで好き。)

悪球打ち」「葉っぱをくわえたキャラクター」の代名詞として今でも広く知られている岩鬼正美という男。
何を隠そう、津田がドカベンという作品を愛している理由は、この男、いや“漢”が7割を占めていると言っても過言ではないくらい、魅力的なキャラクターです。

作者である水島新司御大も間違いなく気に入っており、当初は山田太郎だけでは弱いというリアクションだった編集が、岩鬼をセットにしたことで連載にGOサインが出たという話もあるくらい。

今回はそんな男・岩鬼正美の魅力が十二分に詰まったシーンを3つご紹介します。
野球での活躍シーンは多くの人が知るところなので、ここでは連載初期の「ドカベン柔道編」からの抜粋です。

全然知らなかったという人も、ぜひ岩鬼正美という沼へ一緒にハマりましょう。
漢気という話をするけど、本人が「男・岩鬼」と自称しているので、そこは表記を合わせてお届けするよ。

①自室の畳を黙ってプレゼントする”漢気”

御大特有の謎ポエム

出典はドカベン1巻。

物語はドカベンこと山田太郎が、岩鬼正美のいる鷹丘中学校に転校してくるところから始まる。
初期の岩鬼は、学校の番長的な存在として君臨。
剣道部や柔道部、サッカー部など5人に囲まれてもまるで相手にならず、「バケモン」として周囲から怯えられるような存在だった。

しかし、その実は弁当のサイズが自分より大きい山田に、いちゃもんをつけるほどの小心者
最初は強い吃音もあり、割とかませ犬の雰囲気が漂うキャラクターである。

「そんなことで…」と口に出せる山田の鈍感力

鷹丘中学の柔道部は部員が足りず、ほかの部活からは見下されていた。
ただでさえ部員が5人ギリギリという状況から、丹下というエース級の部員が「モテたい」という理由で退部してしまい、各部活動の用具置き場にされているような有り様である。

柔道部部長は後に高校野球でも対決する「わびすけ」

部を存続するために勧誘を行うわびすけ達柔道部員だが、山田は貧乏な家のことを考えてか、「柔道をやったことがない」という嘘をついてまで断りを入れる。
そのために、「丹下に頼んで部に戻ってきてもらう」と伝えるのだが…

木のフェンスに刺さって死なない丹下もすごい

岩鬼がその前に丹下をぶっ飛ばしてしまう
このタイマンの後に駆け付けた山田から、『話せばわかる。その努力をまずやってほしかっただけだよ。』と静かに怒られてしまった。

ただ、実際岩鬼は丹下に土下座してまで『柔道部にもどったれや』とお願いをしている。
泥まみれの素足で顔を踏みにじられるという、挑発を受けただけなのだ。

間違いなく話す努力はしているのに、山田に叱られるのは少しかわいそうな気もする。
まあ、下の記事でも書いたとおり、本人はこれでも耐えられるから仕方ないのかもしれないが…

結局、丹下は「複雑怪奇骨折」という診断を受けるほどの重傷だった。
山田は連れ戻すことを諦め、自分が柔道部に入ることを決意する。

まずは、部室もとい柔道場の整理から始める山田。
ほかの部活の荷物を片付けるだけでなく、畳屋のせがれ(正しくは孫)である環境を活かし、古くなっている畳の補修を行うのだった。

地味に山田の名言が飛び出している

次の日に柔道部員が見ると、つくろった6枚の畳だけでなく、新しい畳が8枚も。
枚数が合わないことに気づいた山田は、なぜかカリスマ的存在として崇められている野球部キャプテン長島が準備してくれたものだと勘違いする。
「仲間になるまでは結構頼もしかったのに…」というキャラクターの先駆けかもしれないな。

畳屋であるじっちゃんが来校し、新しい畳の出どころが判明。
もちろんお察しのとおり、岩鬼が自室の畳を柔道部のために持ち出していたのだった。

息子の部屋でももう少し静かに開けてあげなよ

最終的に冒頭のコマにつながるわけですが、柔道部に入ろうとした岩鬼だけど、自分からは「畳持ってきてやったで」とは言わないんですよ。
じっちゃんと山田の妹であるサチ子の目撃情報で、ようやく判明するという。
漢は黙って背中で語るんだなぁ。

そしてドカベンファンだったらご存知でしょうが、岩鬼って家族から相当疎まれた存在なんですよね。
漢気を重んじていそうな父親は割と味方だったのだろうけど、母親と3人の兄からは常に悪口を言われ続けるような邪魔者。
周りを気にしない性格とはいえ、これが父親以外の耳に入ったら…とか考えないんだもん。
これは漢気認定しても良いんじゃないでしょうか。

ちなみに岩鬼の入部理由が「柔道はスポーツだから殺しても罪にならない」であることは、彼の名誉のために伏せておきます。

②自分で自分のあばらを折る”漢気”

さらば、あばら

出典はドカベン4巻。

柔道部として活動に精を出す?岩鬼たちは、大会でも準優勝を果たす。
ちなみに優勝は、後に野球でも再戦する賀間率いる武蔵中学校だ。

その賀間が留守にしている間に、武蔵中柔道部に魔の手が…
いわゆる道場破りをして看板を奪い回る、ミイラ男が出現したのである。
頼れる主将を欠いた武蔵中はあっけなく敗れ、ミイラ男ズは最後の1校として、鷹丘中柔道部に狙いを定めるのだった。

蒸れそう

道場破りなんてものを聞きつけたら、血気盛んな岩鬼は黙っちゃいない。
柔道部の代表として、野球場でのケンカ(1対4)を挑むのだが…

腰、逝く

一本背負いを受け、ベンチに腰を強打させられてノックアウト…
珍しく岩鬼がケンカで完敗するシーンとなってしまった。

道場破り成功…と思いきや、ミイラ男ズは『柔道部の看板を持っていくなら、岩鬼ではなく山田を倒さなければ意味がない』と言われてしまい、慌てて山田の家へ。
彼らからしたら「聞いてないよ」状態だろう。

しかし、山田は前回の大会で賀間を相手に八百長をした(賀間の妹が自分の妹と重なってしまい、全力を出せなかった)ことに責任を感じ、柔道部をやめるつもりだったため相手にしない

どうしても山田と戦いたいミイラ男ズは、キャプテン以外の4人で妹のサチ子を誘拐
山田の人生史上最大の怒りが発せられるのだが…
ちょっと本線とは逸れるので、山田のブチギレが見たい場合は以下をご覧ください

…と、ミイラ男ズもといアメリカ柔道選抜とのケンカ(山田曰く制裁)は中断され、柔道での決着をつけることに。
山田、岩鬼、わびすけ、賀間だけでなく、のちに岩鬼の義理の兄弟となる影丸隼人が加わる豪華メンバー。

絶対に勝てるだろという面々が揃うが、アメリカ柔道に不穏な気配が…
空手の達人、謎のトリックを使う幽鬼鉄山という男が、キャプテン以外にダーティーな戦法を伝授したのだ。
鉄山は、試合前に賀間の腕も負傷させている。なんという男だ…

酒1本で腕を売るという実力者鉄山

いよいよ迎えた決戦の日。
先鋒は岩鬼 VS スペンサー・トレイユ
ちなみに次鋒は賀間 VS スミス。中堅は影丸 VS ジョー。
正直岩鬼と山田以外はおまけみたいな描写なので覚えなくて良いです。
キャプテンは名前すらないのに、フルネームを頂戴するスペンサー…なかなかにすごい。

スペンサーは、岩鬼が怪我している胸を執拗に狙う

卑怯者スペンサー

柔道に鉄山の空手を混ぜることで、負傷部分を効果的に攻撃しているのだ。
ついにはあばらまで折られてしまう。

ここからが、津田が柔道編で一番好きなシーン

ここのフリが本当にかっこいい

衝撃のあばら折りから、最後は道場の壁をぶち破るほどの背負い投げで見事一本!
大事な初戦を自らの身体と引き換えに制した岩鬼は、試合後倒れ込んでしまうのであった。

かっこいいぞ、岩鬼正美。
もちろん漢気認定させていただきます。

③友のために駆けまわる”漢気”

走れ岩鬼

出典はドカベン5巻。

これも詳細は長くなるので前回を確認してほしいのだけど、じっちゃんが幽鬼鉄山に痛めつけられたことを知った山田。

鉄山に酒をやめさせるためにも、背骨を折らんとするくらいの締め技をかける。
しかし、最後の力を振り絞った鉄山の手刀によって、山田は腕が折れる寸前というレベルの重傷を負ってしまった

やはり強い鉄山

じっちゃんを早く医者に診てもらわなければ、痛みが一生続く。
しかし、貧乏が故に診てもらうこともできない。
ちょうど畳の納品予定があったため、それを治療費の足しにすべく、山田は瀕死の身体で畳を背負って配達に行くのだが…

妹からしたらトラウマなるよ

大雨の中、大量の畳を背負っていた山田は限界を迎え、橋から激流の川に落ちてしまうのだった。
間違いなく山田の人生史上最大のピンチ
畳にしがみつこうとしても、腕に力が入らない。

実を言うと、山田は もうだめです。
突然こんなこと言って ごめんね。
でも本当です。

!?

全然届いてないところも最高

やっぱり主人公なんだよな。

自分がヤる前に山田に死なれたら困ると、駆けまわる岩鬼。
ちょいちょいメタ発言があるけど、それもドカベンの魅力。

突然ですがクイズです。

山田ではなく、岩鬼が主人公だった場合、『ドカベン』ではなく、どんなタイトルになっていたでしょう。

『ドカベン』の本来のタイトルは?

  • 『男・岩鬼の目指せ柔道王』
  • 『爆裂!男・岩鬼』
  • 『男・岩鬼とゆかいな仲間たち』
  • 『日本侠客王 男・岩鬼伝』

正解!

不正解...

正解は『日本侠客王 男・岩鬼伝』です。


なにそれ?
「侠客(きょうかく)」とは、漢気のある人という意味があるみたい。

問題に戻る

珍しいサチ子の岩鬼呼び

すんでのところで助かった山田。
普段はハッパやらバケモンやらと呼ぶサチ子も、さすがに岩鬼への感謝が止まらない。

ただ、山田の意識は畳へ…
そう、じっちゃんを助けるための治療費を稼ぐという目標は達成できていないのだ。

そして冒頭のシーンへ。
山田に「金の心配はせず、家へ帰って休め」と。
もちろんそんな優しい言い方ではないけれど、裸足でサチ子を背負いながら医者を探しに駆け回る岩鬼。
本当にかっこいい。男・岩鬼だ。

いくつかの医者に断られるなかでも、居留守を使う骨つぎ屋を攫う。
そんな強引なところも好き。

堕ちたな(確信)

「貯金が1,252万円あるから払ったる」と言う岩鬼。
本当にありそうだけど、医者は「おじいちゃんが働けるようになってからボチボチかえせばいい」と山田に伝えて帰ってしまっていた。

素直に涙を流しながら感謝を伝える山田。
ドカベンのなかでも、一番綺麗な涙かもしれない。
いつもは恩着せがましいクセに、直接感謝されると照れ隠しで誤魔化す岩鬼が本当に大好きだ

もちろん漢気、いや侠客認定させていただきます。

マイ3大 まとめ「岩鬼正美の”漢”すぎる魅力」

岩鬼正美は粗暴だけれども、漢気があり魅力にあふれる男だ。

花は桜木 男は岩鬼
そのフレーズが本当に似合う、華のあるスターなのである。

もちろん野球をやらせてもすごい。
悪球打ちに、たまにやらかしのある華麗な三塁守備、実はプロ通算でも打率3割を超えているなど、間違いなく超一流プレイヤー。
しかし、岩鬼正美という男の魅力は、野球以外のところにあると津田は思うのだ。

ドカベンを読み返すとき、明訓高校野球部に上がったところからしか見ない人もいるようなのだけど、ぜひ柔道部編も一度しっかり読んでみてほしい
まだ中学生だったころの、剝きだしの岩鬼や山田を楽しむことができるから。

またドカベンという素晴らしい作品が、一人でも多くの人々に広まることを祈って。

次回、「岩鬼正美の理解し難い悪球打ちの秘策」でまたお逢いしましょう。

おわりでーす

   

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