【気はやさしくて力もち?】マイ3大「山田太郎の血の気満載シーン」

マイ3大

気はやさしくて 力もち
明るい笑顔が きょうもゆく~

野球マンガの金字塔『ドカベン』。津田がこの世で一番好きなマンガです。

連載開始は1972年。田中角栄内閣が発足し、和田一浩さんや稲葉篤紀さんが生まれた年に始まり、最後のドリームトーナメント編が終わる2018年まで水島新司御大は描き続けました。
2022年に御大が亡くなってしまい、ほかにも多くの野球マンガが生まれてきましたが、今だからこそ津田はドカベンのネタをどんどん発信していこうと思います。
全然知らないという人もぜひお付き合いください。

山田太郎という男

ドカベンを読んだことはなくても、冒頭のフレーズを聴いたことがある人は多いのではないでしょうか。
OPで流れるこの歌詞が指しているのは、もちろん主人公である「山田太郎」のこと。

表紙の左下にいる、柔道着を着たあまりに恰幅の良い男。
ペイントのブラシでスッスッと横に4回動かせば描けそうな目と眉毛からも、気のやさしそうなところが存分に伝わってきます。

しかし、このドカベンというマンガ。
実は最初から野球要素はちょくちょく出てきますが、6巻くらいまでは山田太郎が柔道部にいます。

すごくないですか。『テルマエロマエ』とか『じょしらく』だったらこの6巻で完結してますよ。
明らかに高校野球マンガとして描きたいのに、中学時代を描く6巻分の1,000ページくらいでその助走をしてるようなものなんです。

話が逸れてしまいそうなので戻すと、この山田太郎という男。

めちゃくちゃドデカイ弁当を毎日食べることから、「ドカベン」と呼ばれています。
作中でそう呼ばれてることはほぼないし、初出も自分で言っているので、意外と自称なのかもしれない。家めっちゃ貧乏なのにようがんばってる。

そんな食の太さで培った見事な体型に負けじと心も広く、山田といえば「おおらか」「機転が利く」「気がやさしい」というイメージは作中・外問わず周知されています。

しかし、そんな山田も中学時代は血気盛んに怒りの感情を露わにしているのをご存じでしょうか。
今回は「山田太郎の血の気満載シーン」を3つ、お届けしようと思います。

①「きさまら二度と柔道ができんようにしてやる!!」

あの山田太郎が、おそらく人生で一番ブチギレて強い言葉を放ったシーン。
割と有名な1コマなので見たことがある人も多いかもしれません。

なぜ山田がここまでキレたのか。
相手は日本の中学柔道を”絶滅”させにきたアメリカ人4人組。

出典はドカベン4巻。
道場破りよろしく、いくつもの中学柔道部から看板を奪い取ってきたアメリカンたちは、最後に残った鷹丘中学へ。
山田は柔道部からすでに離れており、岩鬼の奮闘むなしく最後の看板も取られてしまう。

しかし、『山田を倒さなければ、その看板を持っていくことはできない』とお節介ガールがアメリカンを止める。こいつ、モブキャラなのにお節介がすぎるな。

山田の家に出向き挑発をくり返すも、山田は『柔道部はもう関係ない』と、のらりくらりかわし続けた。
そんな山田に振り向いてもらいたいアメリカンたちは、男子中学生が好きな娘にちょっかいを出すかのごとく、以下の行動に出る。

妹・サチ子の誘拐だ。
えぇ…昭和の時代でも普通に犯罪ですよ。

冒頭のブチギレシーンの1つ前。
人質にされていたサチ子を奪い返し、決闘が始まる。

いや、妹誘拐されてるのに柔道着持ってこねえだろ
心底キレてるのに、『あっ…ちょっと帯締めるから待ってて…』って着替えるか?
1対4なのに武器持ってこなかっただけでアッパレあげますよ。

案の定4人同時に攻撃してきてるし。本当に柔道を”絶滅”させに来たのだろうか。
そして、山田が明確に殺意を持って拳を振り上げるシーンは後にも先にもこれだけだ。
柔道家のお偉いさんが止めに入り、改めて日本チーム対アメリカチームの5対5で決着をつける…という約束で終わるのだが、それで良かったのか山田。

ここで拳を止められる山田は、やっぱり気がやさしいのかもしれない。

②「二度とつかえぬようにしてやる!!」

出典はドカベン5巻。
山田はキレるときに『二度と○○できないようにしてやる』と言いがちなことがわかる。
絶対根絶やしにするという圧倒的な怒りを感じるな。

これは飲んべの闇空手家・幽鬼鉄山という男が、必殺技「万年げり」を山田のじっちゃん(祖父)に喰らわせ、肩に傷を負わせたことが発端である。

左手もワナワナとしゃべるくらいキレている。

この技を喰らうと、肩が二度と上がらなくなるらしい。
①で書いた柔道家のお偉いさんは、それを受けて柔道ができなくなったそうだ。
ちなみに、じっちゃんはその辺の町医者に診てもらったおかげで、普通に全快する。
えぇ…お偉いさんはなんで当時診てもらわなかったの…

そんな山田のキレ具合はこちら。

3年後に10球団からドラフト1位指名を受ける男の背筋力はやっぱりすごい。
自分より少し大きいくらいの大人を、両足を持って振り回し、レーザービームのごとく土管に放り投げている。

めっちゃ怖い。山田さんと呼ばないといつ自分も投げられるかわからんぞ。
しかし、今回も明らかに相手の方が悪い。
両親を事故で亡くした自分と妹を、貧乏ながら畳屋の腕だけで一人育ててくれたじっちゃんが腕を使えなくなったら、もう生きていけないわよ。

③ ???

3つ目はありません。

えっ?
3大ってわざわざ銘打ったのに、なし???

そうなんです。中学時代の山田太郎、気やさしすぎ。
別に「山田太郎の本名は?結婚相手は?年収は?」とか、
「調べてみましたがわかりませんでした!!いかがでしたか?」とかやりたいわけじゃないんです。
本当に上の2つ以外キレてない。

1巻の初めでいきなり野球部のキャプテンからどてっ腹にボールを全力でぶつけられた挙句、「ぶきみな男」と評されたときも

岩鬼に泥だらけの足で顔を踏みつけられたときだってキレない。

柔道の決勝戦で八百長を疑われた挙句、みんなの前で学級裁判の対象にされても山田はキレない。

いや、逆に怖いだろ…
それにしてもこの委員長、やり方が陰湿すぎではないか?
柔道部から野球部に山田が移ったときに、この委員長も野球部に入ってくるんだけど、よく許せたな。
いじめ主犯格と同じ部活入るようなもんですよ。
『「八百長」という言葉の語源について話をしてみよう』って、先生も怖すぎる。

さすがの山田もこれだけは効いてたみたいで、珍しく食欲をなくしご飯を食べなくなっていた。
「山田の倒し方」を本にするとしたら、精神攻撃の方向から考えた方が良いのかもしれない。

この攻撃があと1週間くらい続いていたら、『ドカベン』というマンガが危なかったかもしれない。
「ドカッとでっかいベントウペロリ♪」でおなじみなのに、食欲減退はまずいよ。
山田にはサンドイッチじゃなくて白米をとにかく食べててほしい。

嫌だろ、OPでこんなタイトル出てきたら。

(テーテーテー テテテテッテテー♪)
もう日常系マンガじゃん。女子校に通う4人組の女の子が毎日自分のお弁当持ち寄って、ほのぼの学園生活送ってるじゃん絶対。

あと、山田以外の人間、暴力や実力行使を軽く見すぎている。
龍が如くでもここまですぐ手出さないよ。最近の若者はすぐキレるというけど、この時代のがよっぽどだ。

もはや山田以外が「気はみじかくて 力もち~」とOPで唄ってもらった方が良い。オコリザルか君らは。
それか「(相対的に)気はやさしくて 力もち~」と早口でコーラス入れてもらえ。ちょうどいい奴いないのか、この世界は。

マイ3大 まとめ

結局、山田は家族がピンチなときだけキレる男だ。
それ以外は実に温厚で、「気はやさしくて 力もち」の看板に偽りなしと言えるだろう。

しかし、実は1巻の序盤で、キレているとまでは言わないが、山田が珍しく感情を露わにしているシーンがある。
家族絡みでなく、しかもおそらく気に入っているであろう岩鬼に向けての発言だ。

やっぱりあんたは「ドカベン」だよ。
YYS(やっぱり 山田は すごい)と呼ばれていたけど、YYDと評させていただきます。

これが一番しっくりくるね。

おわりでーす

コメント

タイトルとURLをコピーしました